2021年の確定申告について解説します~不動産購入編~

前回は、2021年の確定申告の中でも、不動産売却に関することを中心に解説しましたが、今回はそれの不動産購入編です。
不動産を購入した方も、場合によっては確定申告が必要であるため、昨年初めて不動産を取得した方は、この機会にぜひ知識を身に付けておきましょう。
詳しく解説します。

なぜ不動産購入後の確定申告が必要なのか?

2021年の確定申告は、2020年に不動産を購入した方も実施した方が良い場合があります。
具体的には、“住宅ローン減税”を受けるための要件をクリアしている場合です。
これは、借入金でマイホームを購入した方、あるいは一定の増改築を行った方が、その年の年末の借入金残高に応じた一定額(税金)を通常10年に渡って控除できる制度をいいます。
もし、2020年に不動産を購入した方で、主に以下の要件をクリアしている場合は、2021年に確定申告をして、少しでも税金面の恩恵を受けられるように準備しておきましょう。

・新居に入居した年以前の3年間、以後の3年間に他の特例の対象となっていないこと(3,000万円控除など)
・マイホームの取得、増改築をするため、金融機関や地方公共団体から借入をしていること
・控除対象の新築住宅、既存住宅を所有していること など

ちなみに、年利0.2%未満の社内融資を受けている場合、企業から利子補給があり、実質0.2%に満たない利息しか負担していない場合などは、たとえ民間の住宅ローンを利用していても、住宅ローン減税の対象にはなりません。

贈与税の特例が受けられる可能性も

2021年の確定申告は、2020年に不動産を購入した方が、贈与税の特例を受ける際も実施しなければいけません。
具体的には、マイホームを購入する資金を親から受け取った場合、確定申告をすれば特例の対象になる可能性があります。
これは、“住宅取得資金の贈与の特例”というもので、2021年の年末までに、父母等から住宅取得費用を贈与され、なおかつ一定の住宅を取得して入居した場合に、定められた金額までの贈与を非課税とすることができる制度です。
2020年、親からの援助によって不動産を購入した方は、2021年の確定申告期間までに、不動産購入前に受け取った金額などをチェックしておきましょう。
ちなみに、対象となる人物や住宅は以下の通りです。

・贈与を受ける方:贈与の年の1月1日時点で20歳以上、かつその年の合計取得金額が2,000万円以上の方
・贈与をする方:贈与を受ける方の直系尊属(父母、祖父母など)
・対象の住宅:床面積50㎡~240㎡(新築住宅)、工事に要した費用の金額が100万円以上(既存住宅) など

確定申告を忘れてしまったらどうなる?

前述の住宅ローン減税などを受けるためには、2021年の期限までに確定申告をしなければいけませんが、2020年に不動産を購入したにもかかわらず、確定申告を忘れてしまった場合、一体どうなるのでしょうか?
この場合、もう住宅ローン減税の対象にはならないと思っている方もいるかもしれませんが、実際はそんなことはありません。
税金の還付申告には、請求猶予期間が5年間あります。
つまり、一度申告を忘れてしまっても、後から書類を提出すれば、十分間に合うということです。
ただ、猶予期間があるとはいえ、ずっと後回しにしていると、5年間という期間はあっという間に過ぎ去ってしまいます。
よって、あくまで2020年に不動産購入をした場合は、2021年に確定申告しなければいけないと考えておきましょう。

まとめ

ここまで、2021年の確定申告の中でも、不動産購入に関することについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
“確定申告は不動産を売却した方がするもの”というイメージは強いかもしれませんが、これは間違った考え方です。
不動産購入後の確定申告は、必ず申告した方自身のプラスになるものであるため、実際2021年の申告期間に入る前に、各控除・特例の要件を満たしていないか確認しておきましょう。

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