不動産売却時の売却理由はどこまで告知すべきなのか?

不動産売却の理由は人それぞれであり、ポジティブなものもあれば、当然ネガティブなものもあります。

では、不動産売却時、ネガティブな売却理由がある場合には、果たしてどこまで買主に告知すべきなのでしょうか?

これから不動産売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

不動産売却における告知義務について

不動産売却時、売主には告知義務というものが発生します。

こちらは、買主に尋ねられたかどうかに関わらず、不動産の売却理由を告知しなければいけないというものであり、ネガティブな理由での不動産売却に適用されます。

例えば、以下のような瑕疵(欠陥)が理由で不動産売却を行う場合は、その旨を包み隠さず、買主に告知しなければいけません。

・物理的瑕疵

・環境的瑕疵

・法律的瑕疵

・心理的瑕疵

物理的瑕疵

売却する建物や土地そのものの瑕疵を物理的瑕疵といいます。

以下のようなことが理由で不動産売却をする場合、物理的瑕疵があると判断されるため、必ず買主に伝えなければいけません。

・地盤が歪んでいる

・土壌汚染されている

・雨漏りがある

・ひび割れがある

・シロアリ被害を受けている

・床下浸水が起こっている など

環境的瑕疵

売却する不動産の住み心地に悪影響を及ぼす、物件の周辺環境にある問題を環境的瑕疵といいます。

以下のような環境的瑕疵がある場合、売主は買主にその旨を伝えなければいけません。

・騒音がうるさい

・電車や車などによる揺れがある

・日当たりや眺めが悪い

・近くに暴力団の事務所がある

・近くに火葬場、産業廃棄物処理場がある など

法律的瑕疵

売却する物件が抱えている法律的な問題を法律的瑕疵といいます。

具体的には、以下のようなものを指します。

・建蔽率違反がある

・容積率違反がある

・接道義務違反がある

・計画道路指定されている

・防災設備が劣化、老朽化している など

心理的瑕疵

売却する不動産において、買主が心理的に居住することをためらうような瑕疵を心理的瑕疵といいます。

わかりやすいものでいうと、過去に売却物件で発生した自殺や病死、火災といった事件・事故が挙げられます。

不動産売却時の心理的瑕疵はどこまで告知すべき?

前述した4つの瑕疵のうち、もっとも買主との間でトラブルにつながりがちなのが、心理的瑕疵です。

他の3つの瑕疵に関しては、誰が見ても明確な瑕疵が存在すると言えますが、心理的瑕疵は目には見えない上に、気になるか気にならないかの基準に個人差があります。

また、不動産売却時の心理的瑕疵はどこまで告知すべきなのかについてですが、売主が買主の立場になったとき、「それだったら買わない」と思う瑕疵については、すべて告知することが無難です。

もちろん、すべて告知した上で買主が納得し、購入してくれるのであれば、その後トラブルになる心配もほとんどありません。

告知義務違反のペナルティについて

不動産売却時、ネガティブな売却理由、つまり瑕疵についての告知義務に違反した売主は、買主から物理的瑕疵の補修、購入費用の減額などを請求される可能性があります。

また、これらの請求に応じない場合、売買契約をキャンセルされたり、損害賠償請求が行われたりする可能性もあります。

その他、心理的瑕疵の告知が不十分であり、買主が心理的な苦痛を受けた場合には、損害賠償とは別に慰謝料を請求されるケースもあるため、注意してください。

まとめ

ここまで、不動産売却時のネガティブな売却理由について、どこまで買主に告知すべきなのかについて解説してきました。

瑕疵があるという旨を買主に伝えることで、購入を見送られてしまう可能性は確かにあります。

しかし、そこで虚偽の告知をしたり、瑕疵があることを黙っていたりすると、後々大きなトラブルに発展する可能性があるため、売却時にはありのままを買主に伝えなければいけません。

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