不動産売却における短期譲渡の注意点やポイントについて

不動産売却における“短期譲渡”は、文字通り短い所有期間で売却することを指しています。
具体的には、不動産の所有期間が5年以内の場合に行う売却であり、こちらにはさまざまな注意点や押さえておきたいポイントがあります。
詳しく解説しますので、興味がある方はぜひ最後までお付き合いください。

不動産売却における短期譲渡で課税される税金について

不動産売却における短期譲渡で得た利益は“短期譲渡所得”と呼ばれるもので、こちらは当然税金の対象になります。
また、このとき課税される税金には、所得税と住民税だけでなく、復興特別所得税も挙げられます。
復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興に用いられるために創設された税金をいい、2037年の短期譲渡までは発生し続けます。
ちなみに、不動産売却が短期譲渡であろうと、長期譲渡であろうと、復興特別所得税の税率に変わりはありません。

不動産売却における短期譲渡は税率が高い

先ほど、不動産売却における短期譲渡で課税される復興特別所得税は、長期譲渡とまったく同じ税率だという話をしました。
一方で、住民税や所得税の税率には、大きな差があります。
所有期間5年以上で売却する長期譲渡の税率が、所得税15%、住民税5%であるのに対し、短期譲渡の税率は、所得税30%、住民税9%となっています。
つまり、短期譲渡の方が、2倍近く税率が高いということです。
そのため、例えば所有期間4年で売却を検討しているような場合、早急に売却しなければいけない理由が特になければ、長期譲渡に切り替わる時期まで待つことも考えましょう。

不動産売却における短期譲渡の期間の数え方について

不動産売却における短期譲渡は、不動産の所有期間が5年以下で行う売却が該当しますが、期間の数え方に関しては注意が必要です。
多くの方は、上記の5年という期間について、“購入日から丸5年経過した日”という認識を持っているかと思いますが、こちらは正しくありません。
保有期間が5年を迎える日の属する年における12月31日までに売却して初めて、短期譲渡は成立します。
例えば、2022年4月1日に不動産を購入した場合、短期譲渡扱いになるのは2027年の4月1日までではなく、2027年の12月31日までということになります。
少しややこしいですが、1日でも過ぎると長期譲渡に切り替わってしまうため、覚えておきましょう。

不動産売却における短期譲渡と特例の組み合わせ

不動産売却における短期譲渡は、前述の通り非常に税金の負担が大きくなります。
では、このとき税負担を軽減させるために、居住用不動産の3,000万円控除を利用することは可能なのでしょうか?
結論からいうと、3,000万円控除を適用させ、一切税金を発生させないことは可能です。
ただし、3,000万円控除の対象になると、短期譲渡を行った年とその後2年間は、新たに購入した住宅に対する住宅ローン控除を利用できません。
住宅ローン控除は、購入する住宅が新築の場合は400万円、中古でも200万円まで控除される制度です。
そのため、3,000万円控除と住宅ローン控除、いずれの制度にも関係してくる住宅の買い替えを行う方は、前者と後者のどちらを適用させるべきなのか、事前にシミュレーションを行い、明確にしておくことをおすすめします。
とりあえず3,000万円控除を適用させ、後々住宅ローン控除の方がお得だったことに気付くなど、初歩的なミスはしないようにしましょう。

まとめ

ここまで、不動産売却における短期譲渡の注意点、ポイントについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
一般的に、長期譲渡に比べて不利なイメージのある短期譲渡ですが、各種税金の税率や併用できる制度について熟知しておけば、問題なく成立させることが可能です。
もちろん、長期譲渡のメリットやデメリットについても把握し、短期譲渡と比較することも大切です。

関連記事一覧