住宅ローン減税における築年数要件の大幅な改正について

住宅ローン減税は、これまで何度も改正を重ねられていて、2022年4月には、また大幅な内容の改正が実施されます。

その1つが、“築年数要件”の改正です。

今回は、住宅ローン減税の概要とともに、こちらの改正内容について詳しく解説したいと思います。

マイホームの購入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

住宅ローン減税の概要

住宅ローン減税は、住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合に、年末時点での住宅ローン残高の1%が入居時から10年間にわたり、給与などから納めた所得税、住民税から控除される制度です。

住宅ローン控除とも呼ばれ、正式名称は住宅借入金特別控除といいます。

なお、平成31年度の税制改正に伴い、令和元年10月1日から消費税が10%に増税されたのを受けて、こちらの制度は拡充されています。

対象となるのは、消費税率10%が適用されるマイホームを購入し、令和元年10月1日から令和2年12月31日までの間に入居した場合で、控除期間は10年から13年へと3年間延長されます。

住宅ローン減税における築年数要件の改正とは?

これまでの住宅ローン減税では、中古のマイホーム購入時に利用する場合、以下の要件をクリアしている必要がありました。

・木造(非耐火建造物)は築20年以内

・耐火建築物は築25年以内

また、上記の要件をクリアできない場合は、以下の証明書等を取得することで、住宅ローン減税の対象住宅として認められていました。

・耐震基準適合証明書

・既存住宅性能評価書

・既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約の付保証明書

一方、住宅ローン減税の築年数要件が改正された後は、以下のものに統一されるようになります。

・昭和57年以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)

つまり、住宅ローン減税の改正後は、これまで建物の種類ごとに定められていた築年数要件が撤廃され、昭和57年以降に建築された物件であれば、すべて対象住宅として数えられるようになるということです。

例えば、築30年以上経過しているような物件であっても、昭和57年以降に建築されたのであれば、特段の証明書等を取得しなくても、住宅ローン減税を利用できます。

このように、築年数要件が大幅に緩和されるため、対象住宅の数は飛躍的に増加し、住宅ローン減税を利用する方もかなり増えることが予想されます。

その他の改正内容について

住宅ローン減税は、前述した築年数要件以外にも、さまざまな改正が実施されています。

従来の住宅ローン減税は、令和3年の年末までの入居が対象でしたが、こちらは改正によって4年間延長され、令和7年の年末が入居期限となります。

こちらの延長により、令和4年以降も住宅ローン減税の利用が可能になりました。

また、令和3年までは控除期間が10年間だったのに対し、令和4年からは最大13年間に延長されます(中古住宅は従来通り10年間)。

そして、もう1つ大きな改正として挙げられるのが、控除率の縮小です。

令和3年までは控除率が1%だったのに対し、令和4年からは0.7%にまで下がります。

こちらの変更により、同じ住宅ローン残高であっても、控除される税額は下がってしまいます。

新築物件に関しては、控除期間が延長されているため、控除率が縮小された影響をある程度は抑えることができます。

しかし、中古は控除期間が据え置きであるため、控除率が下がった分の影響を大きく受けることになります。

中古で住宅ローン減税を利用した場合の最大控除額は、改正前が200万円であったのに対し、改正後は140万円となっています。

まとめ

ここまで、住宅ローン減税における築年数要件の大幅な改正、その他の改正内容について詳しく解説しましたが、いかがでしたでしょうか?

前述の通り、今回の築年数要件改正により、住宅ローン減税を利用する方は増加する可能性が高いです。

一方で、控除率などこれまでよりも恩恵が小さくなった部分もあり、今後新たな改正が実施されるのかどうかにも注目したいところです。

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